「こけし」は単純な民芸品でありながら、人形として多くの魅力を有する。
しかし、戦前と戦後とでは何かが全く変わってしまった。
決定的にその本性が変化してしまったのではないか、と思えるほどである。
戦前の大どかな、土俗の香り、味わいというものが、戦後は消えてしまった。
勿論、戦後作にも優品、佳品は多いのだが、時代の壁は越えられないような気が
する。
本こけしは、左から菅原昭七(昭和10年)、高橋盛(昭和8年)、渡辺きん
(昭和15年)である。
2008/8/27 水曜日 — 青柳 英介
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先日、新橋のこけし店・あおぞらに行ったら、
主人が昭和29年の横山政五郎のこけしを見せてくれた。
たいへん心が動いたが、15万円という値に躊躇して決断することができなかった。
しかし、やはり心残りなので、家に帰ってから電話をしてみた。
すると、「あれはもうお嫁に行ってしまいました」という。
同席していた客の一人河野さんが買ってしまったのだ。
釣り逃がした魚は大きい。
やはり思い切って買っておけばよかった、と思うことしきりである。
こけしの本の名著に出てくる言葉で、「出た時は買うときなはれ」とある。
こけし蒐集の名言として知られる。
そんなことを繰り返し考えていたら、
ヤフーオークションに、35年の佐藤重之助こけしが出ていた。
昭和35年から40年に至るまで、重之助は素晴らしいこけしを作った。
本こけしは、その初作である。
同じ肘折系のこけしで、鋭さは、政五郎に一歩譲るものの、
よいこけしである。
値段は、それなりに高価だったが、政五郎よりはだいぶ安い。
入札をして、数日後に届いたこけしは、肘折のたくましさを内包しつつも、
穏やかな表情で、たいへん気に入っている。

横山政五郎


佐藤重之助 表情アップ(右)
2008/8/7 木曜日 — 青柳 英介
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